先週来、ベリタスでは、コロナウィルスの影響により、延期・休講の対応をとらせていただいています。
一方で、一部のクラスでは、代替アプローチとして、オンライン型のクラスへの切り替えを行っています。
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ベリタスでは、これまでも、ご希望者に応じて、オンライン型プログラムの提供を行ってきました。

特に多い例は、NY、ロンドン、シンガポールといった海外の主要都市に居住されている、日本人ビジネスパーソンの方々からのリクエストに応じたオンライン型プログラムです。

海外に長く居住されると、日常のコミュニケーションにおける苦労は徐々に解消されます。また、職場における英語によるプレゼンテーションやディスカッションについても、対応する力が身についていく方が多いのは、理解できることです。

一方で、ノンネイティブスピーカーとして、更に上を目指し、より明確な価値を生み出そう、職場の同僚や顧客に対する説得力を増していこう、周囲を巻き込みリーダーシップをさらに発揮していこうと考えると、壁にぶつかることは多いものです。

そして、海外の最前線で戦っている方々こそ、海外に住めばコミュニケーション力は自然と上がっていくという考えは幻想であり、壁を乗り越えるための明確なアプローチが必要だという課題意識が高まるものです。

海外在住の中、現地の様々なプログラムやスクールを試されたあと、敢えて、ベリタスのプログラムのオンライン型受講を希望される方がいらっしゃることには、理由があります。

私自身、海外に居住していた際、日常コミュニケーションや、職場において一定レベルの成果を出す力を身に着けたあと、更なるレベルアップへの壁にぶつかった実体験があることからも、上記のような課題が存在することは、良く理解できます。

上記の課題解決のアプローチへのヒントは、今週末のオンラインクラスの中のディスカッションテーマにも関連しています。

クラスでは、2人の日本を代表する著名なビジネスリーダーによる、海外でのインタビューを視聴し、クラス内でディスカッションをしました。

お1人目の方は、インターナショナルスクール出身のビジネスリーダーで、バイリンガルとして知られた存在の方です。流暢な英語を使いこなし、インタビューでは、早口ですらすらと受け答えをします。

一方で、インタビューを担当した現地のリポーターの反応は鈍いものです。それは、この方の受け答えは、結論が曖昧で、論理が不明確なため、リポーターにもメッセージがしっかり伝わらないのです。相手を圧倒するスピードで、よどみなく答える様子には、英語力の高さがうかがえます。

しかし、実のところ、英語力以外に注目し聞き直してみると、正直なところ話がだらだらと長く、相手には話の中身が伝わっていないのです。もっと踏み込んでいえば、伝えるべき中身自体が希薄であり、その裏にある、ビジネスリーダーとしてのビジョンや戦略に確固としたものがないのではないか、という印象を持ってしまいます。

次に視聴した2人目のビジネスリーダーのインタビューは、説得力に満ちたものでした。この方も、日本を代表する経営者の方で、海外での知名度も非常に高い方です。海外の大学で教育を受けた経験もあり、英語力は非常に高い方です。一方で、大人になってから英語を学んだことから、日本語アクセントは一定残り、語彙力や表現力にも、ネイティブスピーカーと同様レベルでないことは、視聴者には一目瞭然です。

ところが、この2人目の方の説得力が素晴らしく、視聴者をぐいぐい惹き込んでいきます。インタビューアーを務める経験豊富な著名米国人ジャーナリストの厳しい質問にも動ぜず、自分のペースを崩さず、自信をもって、簡潔かつインパクトのある言葉を選び、ゆっくり、大きく、相手の目をみて、受け答えをしていきます。

2人目の方の説得力の源泉として特筆すべき点は、結論メッセージが明快であり、それを支えるロジックもシンプルかつ明確です。そのため、結果的に、簡潔な表現を用い、ずばっと答えることが可能なのです。

ここで言う、簡潔かつシンプルな表現というのは、必ずしも、初中級レベルの表現という意味ではありません。伝えるべきメッセージを最も適格に捉えた、中身の凝縮した語彙・表現の選択力が高いということです。さらに言えば、このような受け答えを見ていると、この方の経営ビジョンや戦略が明確であり、自分の頭の中で、日頃から整理されているという印象を受けます。

ところで、英語でのコミュニケーションに説得力を持たせるためには、「矢印の向き」に秘訣があります。

■ 矢印が左右 -「横」の向きの場合

日本語 ⇔ 英語

これは、日本語で思いつくメッセージを、英語に翻訳する頭の使い方です。
日本語コミュニケーションにおいては、私たち日本人には、母国語の話者として、豊富な語彙と表現力があるため、一定レベルのメッセージの伝達が可能です。

そして、これを英語で再現しようとすると、語彙・表現の壁にぶつかります。そのため、日頃、母国語のコミュニケーションをしている際と同じように頭の中に思いついた内容を、英語でトライしようとすると、大きな壁にぶつかります。

つまり、横向きの矢印は、私たちの英語コミュニケーションの難易度を高めてしまい、良い結果をもたらしません。

■ 矢印が上下 -「縦」の向きの場合

Details (詳細情報) ⇔ Summary (メインメッセージ)

次に、縦向きの矢印です。
これは、いわゆるコミュニケーションのピラミッドストラクチャーを想定すると、頭の使い方としては、ストラクチャーの下部から上部に上っていくイメージです。
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ストラクチャーの下部には、詳細情報や、結論を支える理由が位置づけられ、ストラクチャーの最上部には、結論メッセージが位置します。

日本語コミュニケーションでは、だらだらと詳細を語り、最後に結論に到達する伝え方であっても、母国語としての豊富な語彙と表現力により、何とか伝えきることが可能です。仮に、結論があとにくることで、わかりにく説明になった場合は、「要は、、」「つまり、、」と言い換えながら、長々と説明することが可能です。

一方で、ノンネイティブスピーカーにとっては、長々と話せば話すほど、限りある語彙力や表現力の壁にぶつかります。そのため、口を開き、話をし始める前に、まず何が伝えたい主要メッセージなのかをできるだけ自分の頭の中で整理をし、そこから、簡潔かつ的確な表現で伝える必要があります。つまり、頭の使い方は、できるだけ上に上っていき、メッセージを整理してから表現するイメージです。

先程、紹介した2人の日本人ビジネスリーダーのコミュニケーションを矢印の向きで分類すると、前者の方は左右。後者の方は、上下の向きといえます。

もちろん、前者の方は、バイリンガルのため、日本語⇔英語の2つの言語間を行き来する思考ではありませんが、言ってみれば、2つの言語の流暢さが同等レベルで高いため、Details⇔Summaryと頭の中を上下動する必要がないままに、思いついたことを口に出すことができます。しかし、この流暢さゆえに、コミュニケーションがわかりにくくなっています。

一方で、後者のビジネスリーダーは、まさに上下の矢印を巧みに使いこなす達人です。

ベリタスでは、上下の矢印力を鍛えるために、ロジカルライティングとロジカルディスカッションを繰り返しプラクティスします。

これにより、ノンネイティブスピーカーとしての私たちの英語コミュニケーション力が上達するばかりか、母国語である日本語コミュニケーション力も、より簡潔かつ説得力のあるものに強化することができるという副次効果が見られます。

実は、後者のビジネスリーダーの方の日本語コミュニケーションも、常に、結論メッセージが明確で、非常に説得力が高いものです。日頃から、自然と、上下の矢印力が鍛えられていることから、日本語でも英語でも、力強いメッセージを発することができている、と言えるのではないでしょうか。

是非、皆さんも、口を開く前に、まずsummarize(要約する)する意識で、日本語、英語のコミュニケーション力を高めてみてください。